耳鼻頭頸の2020年度の問題
1. 誤ったものを2つ選べ。(2019-1, 2020-1, 2021-25, 2023-1)
- a. 内耳は、蝸牛、前庭(耳石器)、半規管からなる。
- b. コルチ器には、3列の内有毛細胞と1列の外有毛細胞がならんでいる。
- c. 中耳の障害では、純音聴力検査で感音難聴を呈する。
- d. 伝音難聴の場合、聴性脳幹反応は異常所見を示す。
- e. アブミ骨筋反射は蝸牛神経と顔面神経を介する。
答. b,c
ユニット1-1 聴覚ならびに体平衡の仕組み
2. 小脳・脳幹機能の異常を検出する検査を2つ選べ。(2020-2, 2021-27, 2022-13)
- a. 追跡眼球運動検査
- b. 温度刺激検査
- c. 視運動性眼振検査
- d. 回転検査
- e. 頭位変換眼振検査
答. a,c
ユニット1-1 聴覚ならびに体平衡の仕組み
3. 内耳道にある神経として正しいものを3つ選べ。(2019-3, 2020-3, 2021-28, 2023-3)
- a. 上前庭神経
- b. アブミ骨筋神経
- c. 蝸牛神経
- d. 下前庭神経
- e. 鼓索神経
答. a,b,c
ユニット1-1 聴覚ならびに体平衡の仕組み
4. 50歳男性。1週間前に上気道炎に罹患した。昨日、仕事中に突然回転性めまいを生じ、歩行困難となったため、耳鼻咽喉科を受診した。この患者の診断に必要な検査として適切なものを3つ選べ。(2019-13, 2020-4, 2022-14)
- a. 耳鏡検査
- b. 純音聴力検査
- c. 語音聴力検査
- d. 注視眼振検査
- e. ティンパノグラム
答. a,b,d
ユニット2-2 めまい・顔面神経
5. 誤りを1つ選べ。(2020-5, 2021-30)
- a. 直達性外傷性鼓膜穿孔の原因は耳かきが最も多い
- b. 介達性外傷性鼓膜穿孔の原因は平手打ちが最も多い
- c. 急性中耳炎は経耳管感染で発症する
- d. 急性中耳炎に対して抗菌薬投与を行う
- e. 慢性中耳炎に対して鼓膜換気チューブ留置術を行う
答. e
ユニット1-2 外耳・中耳
6. 正しい記述を3つ選べ。(2020-6, 2021-31, 2022-15)
- a. 滲出性中耳炎では伝音難聴をきたす
- b. 慢性中耳炎に対して鼓膜形成術を施行する
- c. 真珠腫性中耳炎では骨の破壊をみとめる
- d. 外耳炎に対して鼓室形成術を施行する
- e. 耳介血腫の原因はスキューバダイビングが多い
答. a,b,c
ユニット1-2 外耳・中耳
7. 顔面神経の分枝として正しいものを3つ選べ。(2019-17, 2020-7, 2022-16, 2023-4)
- a. 大錐体神経
- b. 鼓索神経
- c. アブミ骨筋神経
- d. 蝸牛神経
- e. 三叉神経
答. a,b,c
ユニット1-2 外耳・中耳
8. 50歳女性。第3子の出産後より徐々に難聴が進行した。純音聴力検査でstiffness curveを呈する混合性難聴を認めた。側頭骨CTで内耳骨包の脱灰像を認めた。この疾患に対する治療で正しいものを1つ選べ。(2019-5, 2020-8, 2021-32, 2023-7)
- a. ステロイド投与
- b. 鼓膜形成術
- c. アブミ骨手術
- d. 鼓室形成術
- e. 抗菌薬投与
答. c
ユニット1-2 外耳・中耳
9. 片側で急性発症の難聴症例について、正しいものを3つ選べ。(2019-6, 2020-9, 2021-33)
- a. 飛行機の離着陸や鼻かみなどの圧外傷で生じた場合、高圧酸素療法を行う
- b. 突発性難聴、メニエール病、外リンパ瘻はいずれもめまいを合併しうる
- c. 早期のステロイド治療を要する可能性があり、診断を遅らせないことが重要である
- d. 顔面神経麻痺を合併した場合、水痘帯状疱疹ウイルスが原因である可能性がある
- e. ムンプスウイルスが原因の場合、抗ウイルス薬が有効であるためワクチン接種の重要性は低い
答. b,c,d
ユニット2-1 内耳・聴神経・聴覚中枢
10. 下記のオージオグラムから考えられる疾患は何か。正しいものを2つ選べ。(2019-4, 2020-10, 2021-35, 2023-8)
- a. 慢性中耳炎
- b. 騒音性難聴
- c. メニエール病
- d. 耳硬化症
- e. 薬剤性難聴
答. a,d
ユニット2-1 内耳・聴神経・聴覚中枢
11. 新生児聴覚スクリーニングで両側要精査となった生後7日の児について、正しいものを2つ選べ。(2020-11, 2022-17)
- a. 生後3か月までに専門の耳鼻咽喉科で精密検査を始めるべきである
- b. 生後6か月になったら人工内耳手術を行う
- c. 聴性脳幹反応検査はABRと呼ばれ、生後8か月を過ぎたら検査できるようになる
- d. 精密検査の結果、90dB以上の難聴と診断されたら、まず補聴器装用を行う
- e. 両親は難聴ではないことが多い
答. a,e
ユニット2-1 内耳・聴神経・聴覚中枢
12. 56歳男性。もともと両耳とも聴こえに問題はなかったが、4か月前から徐々に右耳で電話の声が聴き取りにくくなってきた。最近は右側から呼びかけられると聴き返すことが多く、少しずつ悪化している。歩行時にふらつくことが増えてきた。右頬骨付近にしびれと知覚低下がある。この症例について、正しいものを3つ選べ。(2020-12, 2021-36, 2022-18)
- a. 低音障害型の感音難聴を示すことが多い
- b. めまいを反復し、治療には利尿薬を用いることがある
- c. MRIによる画像診断が重要である
- d. 放射線を用いた治療を行う場合がある
- e. 耳鳴を合併することがある
答. c,d,e
ユニット2-1 内耳・聴神経・聴覚中枢
13. 正しいものを1つ選べ。(2019-9, 2020-13, 2021-13, 2022-19)
- a. メニエール病がめまいの原因として最も多い
- b. 良性発作性頭位めまい症の患側決定に頭位変換眼振検査が有用である
- c. メニエール病は発症初期の高音障害型感音難聴を特徴とする
- d. 前庭神経炎は繰り返すめまい発作を特徴とする
- e. 突発性難聴でめまいは起こらない
答. b
ユニット2-2 めまい・顔面神経
14. めまいについて正しいものを3つ選べ(2018-7, 2019-10, 2020-14, 2022-20)
- a. 良性発作性頭位めまい症 - 浮遊耳石置換法
- b. メニエール病 - 浸透圧利尿剤
- c. 外リンパ瘻 - 内リンパ瘻開放術
- d. 前庭神経炎 - 難聴の合併
- e. めまいの急性期 - 7%炭酸水素ナトリウム
答. a,b,e
ユニット2-2 めまい・顔面神経
15. 良性発作性頭位めまい症について誤りを1つ選べ。(2020-15, 2021-14, 2022-21)
- a. めまいを来す疾患の中で最も多いといわれる。
- b. 頭位変換眼振検査が診断に有用である
- c. 難聴、耳鳴を伴う
- d. めまいの持続時間は短く、数秒から数分程度である
- e. 浮遊耳石置換法が治療として有用である
答. c
ユニット2-2 めまい・顔面神経
16. 末梢性顔面神経麻痺の急性期における治療として誤りを1つ選べ。(2019-31, 2020-16, 2021-16, 2022-22)
- a. 副腎皮質ステロイド
- b. 星状神経節ブロック
- c. 抗ウイルス剤
- d. 顔面神経減荷手術
- e. 内リンパ嚢開放術
答. e
ユニット2-2 めまい・顔面神経
17. 正しいものを1つ選べ。(2020-17, 2021-1)
- a. 中鼻道に開口する副鼻腔は上顎洞、前部篩骨洞、前頭洞である
- b. 鼻腔内の血管は全て外頸動脈由来である
- c. ヒトの嗅神経は再生しない
- d. 鼻呼吸と口呼吸の吸気浄化作用は同等である
- e. ヒトの鼻で1日に産生される鼻汁の量は約100mLである
- f. 内頚動脈由来、c. 嗅上皮に神経幹細胞がある、d. 鼻は天然の空気清浄機、e. 1000ml/日
答. a
ユニット3-1 鼻・副鼻腔
18. 嗅覚低下をきたすものはどれか。正しいものを3つ選べ。(2019-32, 2020-18, 2021-3)
- a. アデノイド増殖症
- b. アルツハイマー病
- c. 頭部外傷
- d. 慢性副鼻腔炎
- e. 術後性上顎嚢胞
答. b,c,d
ユニット3-1 鼻・副鼻腔
19. 48歳女性。30歳頃から気管支喘息を発症し、痛み止めの内服で喘息発作を起こしたことがある。鼻閉、嗅覚障害があり、前鼻鏡検査では両側に多発する鼻茸を認めた。この疾患について正しいものを1つ選べ。(2019-12, 2020-19, 2021-4)
- a. 鼻茸に高度の好中球浸潤がみられる
- b. CT検査で篩骨洞優位の軟部陰影がみられる
- c. マクロライド療法が有効である
- d. アスピリン不耐症を合併することがある
- e. 末梢血好酸球の増加がみられる
答. b,d,e
ユニット3-1 鼻・副鼻腔
20. 40歳女性。毎年2月下旬ごろから、くしゃみ、水様性鼻汁および鼻閉が出現し、目のかゆみを伴うことがある。5月上旬には症状は消失する。鼻X線写真に異常はない。この疾患の治療について誤りを1つ選べ(2018-9, 2019-30, 2020-20, 2022-23)
- a. 抗原の除去と回避
- b. マクロライド療法
- c. 鼻噴霧器ステロイド薬
- d. アレルゲン免疫療法
- e. 手術療法
答. b
ユニット3-1 鼻・副鼻腔
21. 神経と機能について正しいものを2つ選べ。(2019-27, 2020-21, 2022-24)
- a. 舌咽神経 - 咽頭収縮筋の運動
- b. 顔面神経 - 顔面の知覚
- c. 三叉神経 - 口唇の知覚
- d. 迷走神経 - 顔面の運動
- e. 舌神経 - 舌根の運動
答. a,c
ユニット3-2 口腔咽喉頭・良性疾患
22. 唾液腺について正しい組合せを選べ。(2020-22, 2021-5)
- a. 大唾液腺には耳下腺、顎下腺、舌下腺が含まれる
- b. 流行性耳下腺炎では抗ウイルス薬投与を行う
- c. 急性化膿性耳下腺炎は20-30代に好発する
- d. 顎下腺唾石症では顎下腺摘出術が必要なことがある
- e. シェーグレン症候群は唾液腺疾患のため流涙量は減少しない
答. a,d
ユニット3-2 口腔咽喉頭・良性疾患
23. 扁桃周囲膿瘍について正しいものを2つ選べ。(2019-19, 2020-23, 2021-7, 2022-32)
- a. 両側性に生じることが多い
- b. 膿瘍形成の評価には造影CTが有用である
- c. 気道狭窄をきたすことはない
- d. 抗菌薬投与は禁忌である
- e. 頸部膿瘍に発展し、手術が必要になることがある
答. b,e
ユニット3-2 口腔咽喉頭・良性疾患
24. 睡眠時無呼吸症候群について正しいものを2つ選べ。(2019-34, 2020-24, 2021-8)
- a. 成人の睡眠時無呼吸症候群は10秒以上の無呼吸が1時間に10回以上と定義する
- b. 閉塞性、末梢性、中枢性に分類される
- c. 小児では、アデノイド増殖や口蓋扁桃肥大が原因となる
- d. 成人では、肥満者以外で睡眠時無呼吸は生じない
- e. 診断のためには PSG(睡眠ポリグラフ検査)が必要である
答. c,e
ユニット3-2 口腔咽喉頭・良性疾患
25. 反回神経麻痺の原因として考えにくい疾患を2つ選べ。(2019-20, 2020-25, 2021-9)
- a. 食道癌
- b. 下咽頭癌
- c. 甲状腺癌
- d. 側頚嚢胞
- e. 腹部大動脈瘤
答. e
ユニット3-3 口腔咽喉頭・機能性疾患
26. 食物が通る部位として誤りを1つ選べ。(2019-14, 2020-26, 2021-11)
- a. 舌根
- b. 喉頭蓋谷
- c. 上咽頭
- d. 梨状陥四
- e. 食道
答. c
ユニット3-3 口腔咽喉頭・機能性疾患
27. 喉頭機能、検査について誤りを1つ選べ。(2020-27, 2021-12, 2022-25)
- a. 喉頭は呼吸、発声、嚥下にかかわる
- b. 声の基本周波数は一般的に男性より女性が高い
- c. 声門閉鎖不全により発声持続時間は低下する
- d. 声帯ポリープを観察するために喉頭内視鏡は有用である
- e. 嚥下障害を評価するためにストロボスコープは有用である
答. e
ユニット3-3 口腔咽喉頭・機能性疾患
28. 喉頭疾患について誤ったものを2つ選べ。(2019-35, 2020-28, 2022-26)
- a. 喉頭乳頭腫の原因としてHPVが関与している
- b. 声帯結節は喫煙が原因で発症することが多い
- c. 声帯ポリープは悪性転化の可能性が高い
- d. 喉頭軟弱症は経過観察で改善する可能性が高い
- e. 急性喉頭蓋炎は緊急性を伴う
答. b,c
ユニット3-3 口腔咽喉頭・機能性疾患
29. 誤りを1つ選べ。(2020-29, 2021-17, 2022-27)
- a. 頭頸部に発生する悪性腫瘍はほとんどが上皮性である
- b. 頭頸部癌には聴器癌が含まれない
- c. 甲状腺にも扁平上皮癌は生じることがある
- d. 唾液腺癌では、扁平上皮癌以外にも多様な組織型から癌が発生する
- e. 頸部食道は頭頸部に含まれない
答. b
ユニット4-1 頭頚部腫瘍・咽喉頭
30. 正しいものを2つ選べ。(2019-16, 2020-30, 2022-28)
- a. ヒトパピローマウイルスは上咽頭癌発癌に関連する
- b. 上咽頭癌では複視が初発症状となりうる
- c. 上咽頭癌は高齢者にのみ発生する
- d. 上咽頭癌では高分化扁平上皮癌が最も多い
- e. 進行上咽頭癌の根治治療には、化学放射線療法が用いられる
答. b,e
ユニット4-1 頭頚部腫瘍・咽喉頭
31. 誤りを1つ選べ。(2019-22, 2020-31, 2021-19, 2022-29)
- a. 咽頭進行癌では、約20%に上部消化管に重複癌が見られる
- b. 頭頸部原発不明癌で、扁桃を原発巣として疑うことは重要である
- c. 進行下咽頭癌に対する手術療法では、喉頭摘出を伴うことが多い
- d. 進行下咽頭癌に対する手術療法では、遊離空腸を用いた咽頭再建を伴うことが多い
- e. 下咽頭癌では発症早期から症状が出現しやすい
答. e
ユニット4-2 頭頚部腫瘍・顔面頚部
32. 68歳男性。嗄声を主訴として受診。喉頭ファイバースコピーにて、右声帯を主座とする腫瘍性病変が指摘され、右声帯麻痺を伴っていた。この症例に対する治療について正しいものを2つ選べ。(2019-23, 2020-32, 2021-20)
- a. 根治手術として、喉頭全摘術をすすめる
- b. 根治的治療を希望する場合、放射線単独療法をすすめる
- c. 喉頭温存を希望する場合、化学放射線療法をすすめる
- d. 80%以上の5年生存率が期待できる
- e. 喉頭摘出後、音声機能の代用は期待できない
答. a,c
ユニット4-1 頭頚部腫瘍・咽喉頭
33. 正しいものを2つ選べ。(2020-33, 2021-22)
- a. 鼻副鼻腔癌には、上咽頭癌、鼻腔癌、篩骨洞癌などがある
- b. 上顎洞癌は複視を生じることがある
- c. 上顎洞癌は早期から症状が出現する場合が多い
- d. 上顎洞癌の場合、動注化学療法、放射線、手術を併用した治療を行う
- e. 上顎洞癌は、頸部リンパ節転移を来すことが多い
答. b,d
ユニット4-2 頭頚部腫瘍・顔面頚部
34. 誤ったものを2つ選べ。(2020-34, 2021-23, 2022-30)
- a. 頸部郭清術では総頸動脈の温存は必須ではない
- b. 耳下腺全摘術の合併症として、顔面神経麻痺、first bite syndromeなどがある
- c. 耳下腺多形腺腫の手術では、原則として顔面神経を温存しない
- d. 原発不明癌では、CT・MRI・US・PET-CTなどで原発病変を精査することが重要である
- e. 大唾液腺癌では組織型が多彩である
答. a,c
ユニット4-2 頭頚部腫瘍・顔面頚部
35. 正しい組み合わせを1つ選べ。(2019-24, 2020-35, 2021-24)
- a. 55歳未満の甲状腺乳頭癌は予後良好である
- b. 甲状腺濾胞癌ではリンパ性転移が多い
- c. 甲状腺濾胞癌では微小浸潤型よりも広汎浸潤型で予後良好である
- d. 甲状腺癌の手術では合併症として反回神経麻痺を生じることがある
- e. 甲状腺未分化癌では10年生存率が98%と予後良好である
答. a,d
ユニット4-2 頭頚部腫瘍・顔面頚部
36. 55歳男性。既往症:高血圧、喫煙歴:30本/日×30年、飲酒歴:日本酒2合/日×20年。1か月前より舌の違和感、痛みが出現し来院。舌右縁に20×30mm大の腫瘤性病変がみられ、右頸部に20mm大腫瘤を触知する。舌生検にて扁平上皮癌の診断であった。CT・MRIにて、舌右縁に舌正中を超えずに広がる腫瘍性病変がみられ、右頸部リンパ節腫大もみられた。この症例に最も適した治療法を1つ選べ。(2019-25, 2020-36, 2022-31)
- a. 放射線化学療法
- b. 放射線治療
- c. レーザー焼灼術
- d. 右舌半切除術、右頸部郭清術、前腕皮弁再建術
- e. 化学療法
答. d
ユニット4-2 頭頚部腫瘍・顔面頚部