腫瘍緩和学の2021年度の問題
1. 正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-1)
- a. 日本におけるがんの年齢調整死亡率は、男女とも近年低下している。
- b. がん全体の5年生存率は約50%である。
- c. 膵臓がんは、がん死の第2位に上昇している。
- d. 女性のがんの罹患率の第1位は大腸がんである。
- e. 胃がんの罹患率は、上昇している。
答. a
がんの基礎知識
- b. 2010-2021で66.4%
- c. 男:4位、女:3位、全体:4位(2021)
- d. 乳房が1位、死亡率1位は大腸がん
- e. MEN1型はMEN遺伝子異常
がんの基礎知識
2. 間違っているものはどれか。1つ選べ。(2021-2)
- a. 胃がんの原因はヘリコバクター・ピロリ感染である。
- b. アルコール摂取は、がんのリスクを上げる。
- c. 日本では欧米に比べて感染症によるがんが多い。
- d. がんの対策推進基本計画は厚生労働省と各都道府県でそれぞれ策定されている。
- e. がんに一次予防で最も効果的なのは、がん検診の推進である。
答. e
がんの基礎知識
- e. がん検診は二次予防である
がんの基礎知識
3. 正しいものはどれか、1つ選べ。(2020-3, 2021-3)
- a. 女性のがんの検診受診率は男性に比べて低い
- b. 受動喫煙は発がんと関連がない
- c. がん患者との良好なコミュニケーションには、医療者の感情表出は不要である
- d. 現在がん患者の遺族の大多数は、がん患者が苦痛が少なく過ごしたと思っている
- e. がん患者のうつ病率は、正常人と同等である
答. a
がんの基礎知識、がん患者とのコミュニケーション
- b. 関連がある
- c. 必要
- d. 50%程度
- e. がん患者の方がうつ病率が高い
がんの基礎知識
4. 正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-4)
- a. 悪い情報は患者の希望を失わせるので、言わない。
- b. 細胞診ClassVは、がんの診断である。
- c. 透析患者はリスクが高く、がん薬物療法の適応はない
- d. IV期がんは、全て手術適応がない。
- e. 殺細胞薬の投与量は体重から計算する。
答. b
がんの基礎知識、がん患者とのコミュニケーション、がん薬物療法I
- a. 悪い情報だからと言って言わないのは不適切。患者にとって本当に悪い情報かはわからない。
- b. 明らかな悪性細胞を多数認める
- c. 減量すれば適応はある
- d. 必ずしも適応がないわけではない
- e. 身長と体重から算出される体表面積から計算する
がんの基礎知識
5. 正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-5)
- a. 骨転移の検出感度は、PET-CTより骨シンチが高い。
- b. がん患者の抑うつ状態の自己評価と医療者側の評価の一致率は高い。
- c. 腫瘍マーカーは検診に有用である。
- d. 重要な話をするときには、患者家族の同席を勧める。
- e. がん患者とのコミュニケーションで、がん患者の感情表出は好ましくない。
答. d
がんの基礎知識、胸部悪性腫瘍と食道がんに対するがん薬物療法、がん患者とのコミュニケーション
- a. PET-CTの方が有用
- b. 高くない
- c. 有用ではない
がんの基礎知識
6. 正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-6)
- a. シスプラチンは、肝代謝である。
- b. ビンカアルカロイドは、骨髄抑制を来さない。
- c. アルキル化剤は、DNAのグアニンをアルキル化する。
- d. タキサン系抗がん薬は、葉酸代謝に作用する。
- e. 塩酸イリノテカンの副作用は、ABC遺伝子多型で予想可能である。
答. c
がん薬物療法I
- a. 腎排泄型
- b. 来す
- d. 微小管阻害
- e. UGT1A1
がん薬物療法
7. 正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-7)
- a. プラチナ系薬剤は肺機能異常時には減量が必要である。
- b. アントラサイクリン系薬剤の骨髄抑制以外の注意すべき副作用は下痢である。
- c. 殺細胞薬は全て生理食塩水で溶解する。
- d. 固形腫瘍の殺細胞薬の感受性はSkipper仮説がよくあてはまる。
- e. アルキル化剤は、2次発がんの危険性が他の殺細胞薬に比べ高い。
答. e
がん薬物療法I
- a. 腎毒性なので関係がない
- b. 心毒性
- c. 例えばLeucovorinは経口薬なので全て生理食塩水で溶解するは不適切か
- d. 血液腫瘍はSkipper、固形腫瘍はGompertzian
- e. アルキル化剤、トポイソメラーゼII阻害薬が特に問題
がん薬物療法
8. 誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-8)
- a. カルボプラチンは腎代謝である。
- b. シクロフォスファミドの特徴的な有害事象は出血性膀胱炎である。
- c. ビンクリスチンの特徴的な有害事象として、末梢神経障害がある。
- d. 進行再発の固形腫瘍に対するがん薬物療法の目的は、あくまで治癒である。
- e. 早期がんでは、患者の希望があっても術後化学療法は実施しない。
答. d
がん薬物療法I
- d. 延命と症状緩和である
がん薬物療法
9. 薬物相互作用について誤っているものはどれか、1つ選べ。(2020-9, 2021-9)
- a. Warfarinは5-FUとの併用により効果が増強する
- b. 5-FU系抗がん剤と抗ウイルス剤の併用で死亡者が続出し社会問題となった
- c. MTXはロイコボリンと併用することにより副作用が増強する
- d. 5-FUとロイコボリンを併用すると5-FUの作用が増強する
- e. グレープフルーツジュースはゲフィチニブの作用を増強させる
答. c
がん薬物療法I
- c. 副作用を抑える
がん薬物療法
10. 正しいがん抑制遺伝子を3つ選べ。(2021-10, 2022-10)
- a. TP53遺伝子
- b. MYC遺伝子
- c. RAS遺伝子
- d. MLH1遺伝子
- e. RB遺伝子
答. a,d,e
遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
11. 66歳女性。悪性黒色腫に対してニボルマブが投与されている。本日悪心、嘔吐、腹痛、感冒様症状、意識障害で緊急受診した。体温:37.6°C、血圧:98/58mmHg、脈拍:108回/分、酸素飽和度:98%、血糖:710mg/dL、尿ケトン体(3+)であった。初期対応として正しいものはどれか。3つ選べ。(2021-11, 2022-11)
- a. 副腎皮質ステロイドの投与を開始する。
- b. 内服可能であれば経口糖尿病薬を開始する。
- c. 静脈路を確保し、生理食塩水による脱水の補正を開始する。
- d. 血糖を降下させるためインスリンの投与を開始する。
- e. 動脈血を採取し、血液ガス分析を行う。
答. c,d,e
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
12. 肺がんについて正しいのはどれか、1つ選べ。(2021-12)
- a. LD(限局型)の肺小細胞がんの治療は化学療法単独が原則である。
- b. I期肺腺がんでEGFR遺伝子変異陽性だったので、一次治療としてEGFR-TKIを使用した。
- c. 肺がんの死亡率を下げるもっとも有効な手段は検診である。
- d. I期非小細胞肺がんの治療は、手術が原則である。
- e. ALK陽性IV期非小細胞肺がんに対して、一次治療として殺細胞薬の化学療法を行った。
答. d
胸部悪性腫瘍と食道がんに対するがん薬物療法
- a. 化学放射線療法である
- b. I期は手術が原則
- c. 禁煙である
- e. PS0-1でALK-TKI、PS2-4でアレクチニブ
胸部悪性腫瘍と食道がんに対するがん薬物療法
13. 食道がんで誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-13)
- a. 食道がんのリスクファクターは喫煙とアルコールである。
- b. 粘膜下層までの浸潤だったのでESDを行った。
- c. I期食道がんの治療は手術療法あるいは放射線化学療法が標準治療である。
- d. 食道がんの多くは扁平上皮がんである。
- e. IV期食道がんに対する標準化学療法はシスプラチン+5-FUである。
答. b
胸部悪性腫瘍と食道がんに対するがん薬物療法
- b. 手術か、化学放射線療法
胸部悪性腫瘍と食道がんに対するがん薬物療法
14. 成人を対象としたインフォームド・コンセントについて正しいのはどれか、1つ選べ。(2021-14)
- a. 本人と家族の同意が必要である。
- b. 患者は同意をいつでも撤回できる。
- c. 予後についての説明は必要でない。
- d. 医師の過失責任を回避する目的で行う。
- e. 最新の治療法を推奨しなければならない。
答. b
がん患者とのコミュニケーション
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
15. 次の文章で正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-15)
- a. リンチ症候群の浸透率は100%である。
- b. BRCA1遺伝子変異は男性の腫瘍には関係がない。
- c. がん抑制遺伝子による発がんには1段階の変異が必要である。
- d. 家族性大腸腺腫症はAPC遺伝子変異による。
- e. 多発性内分泌腫瘍症1型では、甲状腺髄様がんを発症する。
答. d
遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
- a. 100%ではない
- b. 男性乳がんのリスクの増加
- e. 2型で発症
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
16. 次の文章で、誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-16)
- a. 分子標的薬は、骨髄抑制を来さない。
- b. シスプラチンの有害事象に腎障害がある。
- c. 経口内服薬によるがん薬物療法でも、有害事象は発現する。
- d. タキサン系薬剤は、肝で代謝される。
- e. 代謝拮抗剤投与により、骨髄抑制を来たす。
答. a
がん薬物療法I
- a. 来す
がん薬物療法
17. がん薬物療法に伴う有害事象として、心筋障害(心筋症)に注意が必要な薬剤はどれか。2つ選べ。(2021-17)
- a. ゲフィチニブ(EGFR-TKI)
- b. シスプラチン(白金製剤)
- c. ドキソルビシン(アントラサイクリン)
- d. トラスツズマブ(抗HER2抗体)
- e. ビンクリスチン(微小管阻害剤)
答. c,d
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
18. 遺伝性腫瘍の説明で誤っているものはどれか、1つ選べ。(2020-18, 2021-18)
- a. 遺伝性乳がん卵巣がん症候群でのBRCA1/2遺伝子変異の浸透率はほぼ100%である
- b. 家族性大腸腺腫症では、ポリポーシスを放置すると60 歳頃までにほぼ100%大腸がんを発症する
- c. Lynch 症候群におけるマイクロサテライト不安定性検査には腫瘍組織が必要である
- d. 多発性内分泌腫瘍症II型の原因遺伝子であるRET遺伝子には変異がよく認められるホットスポットがある
- e. Li-Fraumeni症候群では、骨肉腫、乳がん、脳腫瘍等の発症リスクが高い
答. a
遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
- a. BRCA1:78%、BRCA2:70%
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
19. 遺伝性腫瘍の遺伝学的検査を行う際の注意点として誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-19)
- a. 受診者には変異の解釈が難しい場合があることをあらかじめ説明しておく。
- b. 家系員のリスク評価には、家系内でがんを発症した人の遺伝子検査結果が必要である。
- c. 未発症の保因者の検査・説明は診療科医師のみで担当してよい。
- d. 血縁者への情報提供の方法について受診者と話し合っておく。
- e. 変異が陽性の場合の具体的な対策をたてて説明しておく。
答. c
遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
20. 誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-20)
- a. ホルモンは内分泌臓器で合成・分泌される。
- b. 乳癌の発生・増殖にはエストロゲン作用が重要である。
- c. 内分泌療法が適応となる癌には、乳癌や前立腺癌がある。
- d. 手術は局所療法、放射線療法と薬物療法は全身療法である。
- e. 乳癌に対する最初の内分泌療法は1896年の卵巣摘出術である。
答. d
がん薬物療法IIIと乳がんに対するがん薬物療法
- d. 放射線療法は局所療法に該当する
がん薬物療法
21. 誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-21)
- a. アロマターゼはテストステロンをエストラジオールに変換する。
- b. 肥満は、アロマターゼによるエストロゲン産生増加をもたらす。
- c. エストロゲンは細胞増殖に関わる遺伝子の転写を制御する。
- d. エストロゲンによるMAPKの活性化は、non-genomic actionによる。
- e. ホルモン受容体陰性・HER2陰性乳癌はLuminal Aとよばれる。
答. e
がん薬物療法IIIと乳がんに対するがん薬物療法
- e. Basal-likeと呼ばれる
がん薬物療法
22. 誤った記述はどれか、1つ選べ。(2021-22)
- a. タモキシフェンは乳がんホルモン療法の標準治療薬として用いられる。
- b. 閉経前乳がんではタモキシフェンの術後5年間投与が標準治療である。
- c. フルベストラントは、閉経後進行再発乳がんの治療に用いられる。
- d. タモキシフェンは骨組織にアンタゴニストとして作用する。
- e. フルベストラントは子宮内膜にアンタゴニストとして作用する。
答. d
がん薬物療法IIIと乳がんに対するがん薬物療法
- d. アゴニストとして作用
がん薬物療法
23. LH-RHアナログについて誤った記述はどれか、1つ選べ。(2021-23)
- a. 乳がんや前立腺がん治療で使用される。
- b. 視床下部より分泌されているLH-RHを高濃度に持続的に供給する。
- c. 下垂体細胞の受容体のdown regulationを引き起こす。
- d. FSH、LHの分泌を促進する。
- e. 主に閉経前乳がんの治療に用いられる。
答. d
がん薬物療法IIIと乳がんに対するがん薬物療法
- d. 抑制する
がん薬物療法
24. HER2に関する記載で正しいものはどれか。2つ選べ。(2021-24, 2022-24)
- a. 乳がん患者の約90%にHER2過剰発現を認める。
- b. HER2はEGFRと同じHERファミリーの1つである。
- c. HER2陽性の転移・再発乳がんの一次治療でトラスツズマブとペルツズマブを併用する。
- d. トラスツズマブによるインフュージョンリアクション(注入反応)は投与回数が増えると発現頻度が高くなる。
- e. トラスツズマブの有効性・安全性が検証されているのは、本邦では乳がんのみである。
答. b,c
がん薬物療法II
- e. 胃癌にも適応
がん薬物療法
25. 殺細胞性抗がん薬に対するベバシズマブの併用療法が生存期間の延長に寄与するがん腫はどれか。2つ選べ。(2021-25)
- a. 悪性リンパ腫
- b. 非小細胞肺がん
- c. 大腸がん
- d. 肉腫
- e. 食道がん
答. b,c
がん薬物療法II
がん薬物療法
26. 病理検査でKi-67指数が5%と低く、かつ核分裂像数:10/10HPF(高倍率視野)と少ない、高分化型膵神経内分泌腫瘍に対する薬物療法として、適切でないものはどれか。2つ選べ。(2021-26, 2023-27)
- a. レンバチニブ
- b. エトポシド+シスプラチン
- c. アフィニトール
- d. スニチニブ
- e. ストレプトゾシン
答. a,b
希少がんとAYA世代
希少がんとAYA世代
27. 59歳女性。甲状腺乳頭がん術後TSH抑制療法を行ってきたが、2年で多発肺転移・骨転移が出現した。肺転移は131Iの集積があり、放射性ヨウ素内用療法を開始したが、治療中に肺転移の増加・増大を認めた。この症例で考慮される治療はどれか。2つ選べ。(2021-27, 2023-28)
- a. 肺転移切除術
- b. 放射性ヨウ素内用療法継続
- c. ソラフェニブ内服
- d. レンバチニブ内服
- e. ベバシズマブ療法
答. c,d
希少がんとAYA世代
希少がんとAYA世代
28. オンコロジーエマージェンシーと検査の組み合わせのうち適切なものはどれか、3つ選べ。(2020-28, 2021-28)
- a. 胃がんによる消化管穿孔 - 上部消化管内視鏡
- b. 腫瘍崩壊症候群 - 血清尿酸
- c. 上大静脈症候群 - 造影CT
- d. 胆道閉塞 - 腹部超音波検査
- e. 発熱性好中球減少症 - 骨髄穿刺
答. b,c,d
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
- a. CT検査
- e. 血液検査、血液培養、尿検査
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
29. 腫瘍随伴症候群(PNS)について誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-29)
- a. がん患者の5-10%に発生する。
- b. 血球異常の他に、静脈血栓塞栓症もみられる。
- c. 異所性ACTH症候群では筋力低下や低カリウム血症などを呈する。
- d. Lambert-Eaton筋無力症候群の原因疾患として多いのは小細胞肺がんである。
- e. 腫瘍細胞から副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)分泌により、低カルシウム血症を来す。
答. e
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
- e. 高カルシウム血症
支持療法とオンコロジーエマージェンシー
30. 60歳のPS良好の多発肝転移を有する進行胃がん、食物通過障害なし、臓器機能障害なし、腹水なし、HER2 IHC(3+)の患者に対する治療方針について正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-30)
- a. 原発と肝転移切除術を行う。
- b. トラスツズマブ併用殺細胞薬による全身化学療法を行う。
- c. 殺細胞薬による全身化学療法を行う。
- d. PS良好、心疾患既往がないため、化学療法前に心エコーによる心機能評価は不要。
- e. BSC(best supportive care)の方針となる。
答. b
消化器がんに対するがん薬物療法
消化器がんに対するがん薬物療法
31. 上行結腸がん、RAS変異型、臨床病期IV期一次治療でFOLFOX+ベバシズマブを施行中に病勢進行した。PS良好、二次治療で行う治療はどれか、1つ選べ。(2021-31)
- a. ゲフィチニブ
- b. FOLFIRI+ベバシズマブ
- c. FOLFIRI+セツキシマブ
- d. パクリタキセル
- e. S-1+シスプラチン
答. b
消化器がんに対するがん薬物療法
- c. セツキシマブはRAS野生型に有効
消化器がんに対するがん薬物療法
32. 次の中で誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-32)
- a. 肝転移を有する膵がんの標準治療は、原発巣と肝転移の切除である。
- b. 膵がんの術後補助化学療法において、ゲムシタビンは手術単独療法に比し生存期間を有意に延長する。
- c. 切除不能膵がんの化学療法として、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法を行う。
- d. 切除不能胆道がんの化学療法として、ゲムシタビン+シスプラチン療法を行う。
- e. 膵がん全体の5年生存率は、10%以下である。
答. a
消化器がんに対するがん薬物療法
- a. FOLFIRINOX療法、またはゲムシタビン+nab-パクリタキセル併用療法が推奨
消化器がんに対するがん薬物療法
33. 胃がんについて誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-33)
- a. 粘膜内に浸潤が留まるものは、ESDの適応である。
- b. 組織型は多くが腺癌である。
- c. ヒトパピローマウイルスは胃がんの発症危険因子である。
- d. IV期胃がんに対する薬物療法は延命効果を示す。
- e. 免疫チェックポイント薬は、一部の胃がんに奏功する。
答. c
消化器がんに対するがん薬物療法
- c. ヘリコバクターピロリが発症危険因子
消化器がんに対するがん薬物療法
34. 48歳男性。多発性肺内結節、骨腫瘤を認め、他院で原発不明がんと診断され当科紹介受診。再生検施行し血管肉腫と診断された。骨腫瘤に痛みはない。臓器機能は保たれており、PS(ECOG)は1であった。正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-34, 2023-35)
- a. 根治的切除(広汎切除+肺転移切除)を行う。
- b. VAC(ビンクリスチン+アクチノマイシンD+シクロホスファミド)療法を行う。
- c. 一次治療としてPTX(パクリタキセル)を投与する。
- d. 免疫チェックポイント薬を投与する。
- e. 肺と骨に照射を行う。
答. c
希少がんとAYA世代
希少がんとAYA世代
35. Child-Pugh分類Aの遠隔転移を伴う肝細胞がんの一次全身化学療法について正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-35, 2022-35)
- a. 5-FU+シスプラチン
- b. アテゾリズマブ(免疫チェックポイント阻害剤)+ベバシズマブ
- c. ゲフィチニブ
- d. トラスツズマブ
- e. FOLFOX+ベバシズマブ
答. b
消化器がんに対するがん薬物療法
消化器がんに対するがん薬物療法
36. 64歳の女性。15年前に右乳がんで乳房全摘術を実施し、術後右腋窩と前胸部に放射線治療を受けた。前胸部皮膚転移、肺転移、脳転移を認め、1年前に抗がん剤治療は中止した。3日前から疼痛に対してオキシコドン徐放性製剤1日10mgの内服を開始した。昨日から悪心・嘔吐がある。以下のうち、悪心・嘔吐の原因として最も可能性が低いのはどれか、1つ選べ。(2021-36, 2022-36, 2023-36)
- a. 便秘
- b. オキシコドン
- c. 予期性悪心嘔吐
- d. 高カルシウム血症
- e. 脳転移による脳圧亢進
答. c
緩和ケア各論:症状マネジメント
- c. 以前抗がん剤で嘔吐した記憶から抗がん剤に対する嫌悪感により起こる症状
緩和ケア
37. 血管外漏出に関する記述のうち誤っているものはどれか、1つ選べ。(2021-37)
- a. irritant drugに分類される抗がん剤は、局所で発赤、腫脹などの炎症性変化を起こすが、一般的に潰瘍形成までに至ることはほとんどない。
- b. non-vesicant drugに分類される抗がん剤は、漏出した場合、炎症や壊死を起こしにくい。
- c. 血管外漏出の医療者側のリスクファクターとして、「輸液ポンプの使用」がある。
- d. 血管外漏出の医療者側のリスクファクターとして、「8時間以内に穿刺した部位より遠位部(下流)への穿刺」がある。
- e. 血管外漏出の患者側のリスクファクターとして、「栄養状態不良」がある。
答. d
チーム医療と安全管理
- d. 24時間以内
チーム医療と安全管理
38. 医薬品の有効性・安全性評価のうち、製造販売前の最終段階で実施するのはどれか、一つ選べ。(2021-38)
- a. 第I相試験
- b. 第II相試験
- c. 第III相試験
- d. 第IV相試験
- e. 非臨床試験
答. c
遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
39. がん薬物療法における職業性曝露に関する記述のうち誤っているものはどれか、一つ選べ。(2020-39, 2021-39)
- a. 抗がん剤には人間への発がん性がある
- b. Hazardous drug(HD)の曝露対策において、現段階で最も効果が低いとされる方法は、個人防御具による作業者の防護である
- c. 個人防御具には、ガウン、手袋、眼・顔面防御具、呼吸器防御具が含まれる
- d. 抗がん剤注射剤を投与する際には、ガウンを着用する必要はない
- e. 抗がん剤を準備する時は、手袋をする必要がある
答. d
チーム医療と安全管理
- d. 着用する必要がある
チーム医療と安全管理
40. 終末期がん患者に対する輸液療法の概念的枠組みとして誤っているものはどれか、1つ選べ。(2020-40, 2021-40)
- a. 家族の価値観に照らして全般的な治療の目標を明確にする
- b. 輸液による治療目標への影響を評価する
- c. 倫理的・法的妥当性
- d. 患者・家族と相談し、治療を実施する
- e. 治療によって生じる効果を定期的に評価し修正する
答. c
緩和ケア各論:心理社会的ケア
緩和ケア
41. 死が差し迫った時期の患者に対するケアの留意点として含まれないものはどれか、1つ選べ。(2020-41, 2021-41)
- a. 最期まで人格を持った1人の人として接する
- b. 使用中の薬剤量の調整や薬剤の変更を検討する
- c. 持続的鎮静を行っている患者への積極的な声かけをする
- d. 鎮静中は疼痛を感じないので苦痛表情に対して、第一に鎮静剤の増量を検討する
- e. 投薬やケアによってもたらされる苦痛が少ない方法を選択する
答. d
緩和ケア各論:心理社会的ケア
緩和ケア
42. 終末期せん妄に対するケアの留意点について含まれないものはどれか、1つ選べ。(2020-42, 2021-42)
- a. せん妄の原因、経過、治療方法などを家族に適時・適切に説明する
- b. 今後の病状変化を予測し、患者の意識が混濁するまでに家族が患者との別れができるように調整する
- c. 家族の「安らかでいてほしい反面、眠ってほしくない」という、相反する気持ちに配慮する
- d. せん妄による「おかしな言動」には、否定や修正をせずに付き合う
- e. 終末期せん妄は回復困難であるため、患者の安全確保のため身体拘束を行う
答. e
緩和ケア各論:心理社会的ケア
緩和ケア
43. 悲嘆(Grief)について正しいものはどれか、1つ選べ。(2020-43, 2021-43)
- a. 喪失に対するさまざまな心理的・身体的症状を含む、情動的(感情的)反応
- b. 所有していたものや、愛着を抱いていたものを奪われる、あるいは手放すこと
- c. 死によって大切な人を亡くすという経験をした個人の客観的状況
- d. 予期悲嘆を経験すれば、死別後の悲嘆が軽減される
- e. 複雑性悲嘆は6カ月ほど経過すれば自然に消失する
答. a
緩和ケア各論:終末期ケア
- b. 喪失のことである
- c. 死別のことである
- d. よく誤解されるがこれは間違いである
- e. 複雑性悲嘆は6か月以上症状が継続しているという定義である
緩和ケア
44. 緩和ケアのチーム医療におけるメンバーの役割について誤っているのはどれか、1つ選べ。(2021-44, 2022-44, 2023-44)
- a. 医師は、他の職種からの情報も参考にして症状緩和を図る
- b. 看護師は、患者を全人的にとらえて療養生活を支える
- c. 薬剤師は患者には医薬品の説明、医師・看護師には適正使用のアドバイスをする
- d. 理学療法士は、ADLの改善が見込まれるときに介入する
- e. 医療ソーシャルワーカーは、社会的資源に関する情報を提供する
答. d
緩和ケア各論:心理社会的ケア
- d. ADLの改善と維持
緩和ケア
45. アドバンス・ケア・プランニングについて正しいものはどれか、1つ選べ。(2020-45, 2021-45, 2022-45)
- a. 患者、家族、医療従事者の共同作業である
- b. 決定した事前指示を見直す必要はない
- c. 事前指示書を作ることが目的である
- d. 終末期と判断した時点で一度だけ行う
- e. 法的拘束力がある
答. a
緩和ケア各論:心理社会的ケア
緩和ケア
46. 終末期がん患者の在宅療養について正しいのはどれか、一つ選べ。(2021-46)
- a. 40歳以上であれば介護保険を利用できる。
- b. ホスピスから退院して在宅療養することはできない。
- c. 日本の在宅死亡率はおよそ50%である。
- d. 独居では在宅看取りはできない。
- e. 日本人の大多数は望んだ場所で最期を迎えることができている。
答. a
緩和ケア:心理社会的ケア
緩和ケア
47. 進行期がん患者のがん悪液質の病態に関係する記述として正しいのはどれか、1つ選べ。(2020-47, 2021-47)
- a. 必要カロリーを点滴で十分に補う必要がある
- b. 運動療法はカロリーを消費するため無効である
- c. サイトカインは関与しない
- d. 基礎代謝率は維持、または亢進する
- e. 筋組織より脂肪組織の減少を特徴とする
答. d
緩和ケア各論:症状マネジメント
- a. なるべく経口・腸管接種を行う
- b. 倦怠感を和らげる
- c. 炎症性サイトカインにより惹起される全身性慢性炎症状態
- e. 脂肪組織の減少の有無にかかわらず、筋組織の減少を特徴とする
緩和ケア
48. 医療用麻薬について正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-48, 2022-48)
- a. 麻薬過量の身体所見のひとつとして瞳孔散大がみられる。
- b. 塩酸モルヒネは腎障害の患者では慎重に投与しなければならない。
- c. 麻薬の副作用として、下痢がある。
- d. 麻薬がせん妄の原因になることはない。
- e. フェンタニルは呼吸苦にも効果がある。
答. b
緩和ケア:症状マネジメント
- a. 過量=使用時縮瞳、離脱時縮瞳
- b. 腎不全時に蓄積するため
- c. 便秘
- d. ある
- e. 呼吸抑制がある
緩和ケア
49. せん妄の診断について誤っているものはどれか、1つ選べ。(2020-49, 2021-49, 2022-49, 2023-49)
- a. 痛みなどの症状はせん妄を改善してから治療する
- b. 睡眠導入薬は直接因子となる
- c. 意識の障害を伴う
- d. 睡眠覚醒リズムの障害がある
- e. うつ病との鑑別を要する。
答. a
緩和ケア各論:心理社会的ケア
- a. せん妄の原因となっている痛みを取り除く
緩和ケア
50. がんゲノム医療について正しいものはどれか、1つ選べ。(2021-50)
- a. がんゲノム検査は、がんと診断された時点で治療方針決定のために行う。
- b. がんゲノム検査は、遺伝性腫瘍の可能性を検出する可能性はない。
- c. がんゲノム検査の結果で、治療を提供できる可能性は非常に高い。
- d. がんゲノム検査は、血液の検体を用いて行うことが可能である。
- e. がんゲノム検査は、各治療での副作用を予測する目的で行う。
答. d
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング
- a. がんの標準治療が終了した固形患者に適応
- b. 可能性あり
- c. 半分ほどで非常に高いわけではない
- e. 分子標的薬や治療戦略を検討するための検査
がんゲノム医療と遺伝性悪性腫瘍と遺伝カウンセリング